山王テック株式会社/SANNO TEC CO.,LTD.

特別対談

多くの自動車メーカーで『ゲストエンジニア』という専門職が重要なポジションを占めるようになっています。山王テックの業務内容の1つである「自動車開発の開発支援」に携わっている3人の若手エンジニアに自動車評論家 国沢光宏(http://kunisawa.asia/)が最新の状況を聞いてみた。

―― 国沢:皆さんはどんなポジションで仕事をしているのでしょうか?

樋口:自動車メーカーや関連企業から業務依頼をいただいた場合、クライアント様の開発部門に「山王テックの社員」として出向くという形態になります。

―― 国沢:日本の自動車業界は世界的な視野で見れば需要も上向きです。開発すべき車種や対応しなければならない法規が多いので、要求される仕事も多く、開発人員は足りない状況にあります。自動車開発に携わっている御社の社員は分野ごとのスペシャリストなので、ニーズは多いことでしょう。

―― 国沢:次に「ゲストエンジニリングとは何か?」ということを伺いたいのですが。

大友:「ゲストエンジニアリング」というのは、自動車メーカーに代表されるクライアント様の実質的な開発作業の代行業務ですね。仕事の内容は自動車メーカーの開発部門と全く同じだと思って頂ければいいと思います。

―― 国沢:具体的な業務内容はどんなことですか?

大友:私は衝突安全分野で、コンピューターを使って正面衝突のシミュレーションを担当しています。衝突実験で実車を何台も使ってしまうと、開発コストが莫大なものになってしまいますので、設計されたデータを基にコンピューター上で車をぶつけて再現し、開発コスト低減を図っています。

―― 国沢:今の仕事をどのくらい続けているのでしょうか?

大友:10年近くになります。最近は車体の構造や部材の厚さを見ただけでおおよその潰れ方や、安全性が解るようになってきました。

―― 国沢:凄いですね!樋口さんはどういった仕事をしているのでしょうか?

樋口:私は衝突実験でぶつけられる側のボディの担当です。現在フード(ボンネット)の設計をしています。

―― 国沢:ボンネットは歩行者保護の法規強化により重要な部位になりました。歩行者との事故の際、頭が当たる場所です。どこのメーカーも真剣に開発しています。設計されているのはフードのどの範囲ですか?

樋口:全て(デザイン面、裏側のフレーム)を1人でやっています。歩行者保護では、見えない部品の役割も非常に重要です。

―― 国沢:責任重大ですね。歩行者保護の点数で安全性の評価まで変わってきますから。

樋口:そう思っています。ボンネットの下にあるエンジン担当の部署に行って交渉したりもします。エンジンの硬い部品が出っ張っていると歩行者保護の評価も下がってしまいますから。安全面の他、部品としてのコスト計算まで担当しています。

今野:私はインテリア関係で、ドアライニングやトリム(内張り)などの部分を担当しています。

―― 国沢:今野さんの担当は何人くらいでやっているのですか?

今野:私も開発担当車種のルーフライニング廻りは全て任されています。内装の取り付け場所などの折衝業務も大変です。

―― 国沢:車の開発のどのくらいの段階から仕事は始まるのでしょう。

今野:開発初期のモックアップを作る段階から量産立ち上げまでです。開発の初期の段階から自動車メーカーのデザイナーとコスト面や素材なども考慮し、現実に製品化出来るかといった検討までします。

―― 国沢:広範な分野を任されているということですね。仕事をしていてどんな時に楽しかったり嬉しかったりしますか?

大友:自分が手を加えたボディが、実際の衝突実験でイメージ通りにつぶれるのを見たときですね。イメージと実験結果の誤差の少なさに関しては自信あります。

―― 国沢:事故を起こした車を見て衝突したスピードなんかイメージできますか?

大友:事故を見るたびにイメージしてしまいます。ドライバーの怪我の程度も相当正確に予想出来ます。

―― 国沢:凄いですね!やはり長い間、多数のクルマの衝突状況を見てきたからでしょうか。

樋口:車はエンジン、トランスミッション、サスペンションなどたくさんの分野のものから出来ています。そのトータルで商品としての「いい車か?」が作れるのだと思います。ですので、他の部署の担当者と力を合わせながら最終的にいい車が出来てくると嬉しいですね。

大友:衝突安全の解析はボディ部門と密接な関係がありますから、樋口さんと協議をすることもよくあります。

今野:インテリアは必ずお客様に見てもらえるところなので、その意味で「○○の××は僕がやったんだ」という意味での達成感は大きいです。

―― 国沢:入社から、仕事が面白くなるまでにはどのくらいの期間がかかりましたか?

大友:1つ目の機種を終えて、2つ目の機種からでした。

樋口:最初の機種は先輩に教えてもらいながらの勉強で、2つ目の機種で任される部分が増えるのですが大変苦労します(笑)。その分3つ目の車種になるとノウハウも蓄積されて、面白くなってきました。

今野:僕は2年目の後半くらいからでした。

―― 国沢:仕事が楽しくなるのは下積み期間があって、3年目くらいからということでしょうか。最後にどんな人に入社して欲しいか教えてください。

樋口:とにかくやる気のある人ですね。やる気さえあれば、いくらでも教えて育てます。我々も若い優秀な人材は欲しいです。

今野:樋口さんと重複しますけれど、最近若い人が少ないのでとにかくやる気のある人がいいですね。一緒に仕事をすることになったら、どんな些細なことでも良いので何でも聞いてもらえたら凄くうれしいです。

大友:僕は能力が云々よりも、勢いとか根気、若さ溢れるパワーのある人に来てもらえたらと思っています。それで車が好きだったらもうベストですね。時間は掛かるかもしれませんが、技術は経験を重ねることで身に付くものですから。

自動車メーカーにとっても「スペシャリスト」である外部スタッフが重要な戦力になっており、ゲストエンジニアは増加傾向。今後もニーズは大きくなっていく。自動車メーカーのエンジニアがアウトラインを決め、ゲストエンジニアの技術力やノウハウによってクルマを開発していく、という「開発の効率」も求められているのだと思う。
一方、ゲストエンジニアの存在というのは理解されにくい。私も今回のインタビューでゲストエンジニアが大きな戦力になっていることを改めて認識しました。

国沢 光宏

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